楽しみに計画していた旅行なども、旅行先の標高差による影響を受け、思わず体調を崩してしまったというお話を、自然の暮らしの中ではよく耳にすることがあります。
標高・海抜って、改めてどのような意味で、どんな影響を人に与えているのでしょうか? きっと良い影響も、滞在時間による様々な影響などもあるでしょう。今回のレポートでは標高に関しての基本的な知識と、標高・移動などについて気を付けて知っておきたいお話をしてみたいと思います。
標高差による影響の変化で
知っておきたい5つのこと
1.標高と海抜は基本的な高さのこと
土地の地理的な高さ、また航空機の飛翔高度にも高さを表す規格としては標高(ひょうこう)が主に用いられています。標高は東京湾の平均海面と言われる東京湾平均海面 (T.P.) を標高の基準の値としています。また重力に対し垂直方向に測定する長さ単位としては、メートル、フィート、が主に表記されます。
海抜(かいばつ)とは地球の平均海水面から計った陸地の高さなどを基準値0メートルとしています。
2.標高差で気圧、気温、が変わる。
山など高所に出かければ、空気の圧、つまり質量のある空気の重さから徐々に解放され、気圧の負担が減ります。膨張した空気の温度は冷え始め、温度も下がります。高所に行けば、気圧と気温が下がるということです。
気圧が下がると人間の血流は比較的流れやすくなり、気圧による変化で体内の血圧も変化すると考えられています。この血流の変化が人によっては快感を覚えるケースもあるのかも知れません。しかし、日常的に体調管理をされている方には、その高度への変化における血圧などの推移に対しお気を付け下さい。
また水が沸騰する沸点というものは、標高によってもその温度が変わります。通常の標高で100℃で沸騰しますが、上空1500mでは95℃。上空3000mでは90℃。富士山頂では88℃くらいに沸点が徐々に下がっていくそうです。沸点が変わるということは日常的な料理手法にも影響が出て来て、少なからずその味に変化が出るのかも知れません。
また一日の急激な標高差間での移動が、最も影響を受けます。高い所に行く時にはまず防寒対策が必要なのかを、注意してしっかり見極める必要があります。軽井沢など、標高が1000メートルを超える場所は夏の暑い時期でも羽織る上着は用意しましょう。
3.軽井沢の標高・自然環境は人間にとって最高に癒される
軽井沢駅の標高は940メートルあります。軽井沢の中心地である中軽井沢から伸びる146号線を少し浅間山の方へ登れば、標高はあっという間に1400メートルを越えてきます。また隣町の御代田では駅で標高は820メートルですので、日常的に軽井沢の町内をドライブするだけでその標高差はなんと500メートルにもなります。経験豊富な登山家でも1日の平均的な標高差の移動には注意しているようですが、都会では普通、経験出来ないような標高差を信州の方々は日常的に体験しているのです。もしかしたら少し離れたスーパーに買い物に行こうと思っただけでも、400メートルのアップダウンを繰り返しているのかも知れません。
4.高山病の対処方法は下山、1日の移動標高差を抑える
高山病には予め予防が大切です。高山病と思われる症状が出た時の最大の防御は下山です。登山など、極端に高い場所における低酸素状態がからむ病気をお持ちの方は特にお気を付け下さい。高所による通常の酸素量との違いから過呼吸を引き起こす人もいます。パルスオキシメーターなどを持参しましょう。
腹式呼吸など、ゆっくり横になってリラックスした呼吸を心がけて下さい。高所においては誰しも軽い頭痛を感じることはあるようですので、まずはお体を大切にしようというセルフケアの気持ちが重要です。
登山においてはその日一日の合計移動標高差を、計画に盛り込んで下さい。例えば、東京を朝出発して、軽井沢にお昼に到着、そこから浅間山に登山するともなれば東京から浅間山迄、一日の体感標高差は2000メートルを超えてしまいます。本来、経験豊富なアルピニストでも、一日に移動する標高差というのは体調面からしっかり計画しており、宿泊を含めて移動するという計画を立てています。軽井沢で登山をするのであれば、前日に軽井沢の宿泊施設に泊まり、まずは一日カラダを軽井沢の新鮮な空気に慣らして下さい。そして可能であればスッキリ目覚めた翌日に登山し、二日間にかけて、急激な標高差を軽減して下さい。標高差へのカラダの防御は、時間をかけて慣らしていくことが大切なのです。
5.標高を詳細に調べたいのならGoogle Earth
土地の標高を調べることの出来るツールを紹介します。
まずは最も優秀なのが、Google EARTHというソフトウェアで、その土地の詳細な標高を知ることが出来ます。
是非Google Earthのソフトウェアをインストールして使用してみて下さい。
⇒ Google Earth
http://earth.google.co.jp/intl/ja/
素晴らしい景観を眺めて、意識を広げていきましょう。
標高の高い、山から眺める街並の美しい景色は、私達のこころを美しく豊かに広げてくれます。
普段、私達は同じ環境、同じ生活、同じ仕事、同じサイクルだけを経験して生きていると、残念なことに脳が活性化せず、効率化させようとしてしまうのです。普段体験出来ない視点から物事を見つめることで、もっと大きな世界から物事を考えられるようになります。
偉大な芸術家・モーツァルトが残した名言は「旅をしない人間は愚かもの」でした。
その意見の根底に成るものは、旅をして視点を変えて脳を活性化し、創造力を最大限に高めることでモーツァルト独自の芸術を創出するための修練方法だったのかもしれません。
旅行は素晴らしい体験です。この旅行というものは計画を立てなければ平面的な土地の移動に過ぎないのかもしれませんが、その旅行の計画の中に縦の軸、つまり高さの次元を取り入れた環境の変化を盛り込んでみては如何でしょうか?
軽井沢などは標高が高く、空気が綺麗で、山も豊かです。
是非、軽井沢でお会いしましょう。