ビジネスで大成功をしたからといって、都内に地下付きプライベートレコーディングスタジオを建築しようとするのはちょっと待ってください。
地下スタジオとは元来、商業的な役割で楽曲を量産させることに動機づけられた側面が強く、確かな制作スケジュール進行には安心な存在ではあります。問題は密閉された地下環境という地下スタジオでの長期作業が、人として、生理的な側面からかなり大きなストレス問題を抱えているという事実です。
芸術的な作品をクリエイトする本来の目的であれば、実は私たちに必要なのはコンクリート地下スタジオではない、美しく大自然の開放感溢れる軽井沢のような土地でのリゾート・プライベートスタジオを推奨します。
さよなら地下スタジオ。
快適なリゾートスタジオを作る11の方法
1.地下スタジオでしか録れない音がある?
レコーディングにおいて、最も音が大きく地下・地底で遮音して防音する必要のある楽器といえばドラムです。その次にベースアンプでしょう。リゾートスタジオでドラムのレコーディングは需要も少なく現在ほとんど行われてないため、リズム隊は都内の地下スタジオと連携して録音するのがベターでしょう。
リゾートスタジオまで来てドラムのレコーディングを求めるプロデューサー・クライアントというのは非常に稀で、現実問題ほとんどは商業用スタジオを使っています。
ただしリゾートプライベートレコーディングスタジオでも、近代的で基本遮音性能が高い住宅の中に、さらに6畳程の防音レコーディングブースを備え付ければドラムレコーディングも可能です。
元々遮音性能のある一戸建住宅であれば、「家での遮音」+「録音ブースでの遮音」と二重防音対策となり、、音が漏れる事で近所迷惑になることはまずありえません。
近年、地下スタジオでしか録れない音があるから困ると言った事象は現実問題、全く感じられなくなってきました。安心してリゾートプライベートスタジオへと飛び出し、自由な創造の場を手に入れましょう。
2.簡単に出来る防音対策の基本テクニック
地下スタジオのように何も気にせず大きな音を出したい!
そんな願いを叶える防音のテクニックは地上にも多くありますが、実は最も見落としがちな防音対策はメインスピーカーの置いてあるリスニングルーム・コントロールルームの音響補正なのです。
音響補正??意外!! と思われるかもしれませんが、例えば騒々しい周囲の環境の中で会話する場合、と、静かな環境での会話を思い浮べてみて下さい。
周囲が騒々しい環境では大きな声をだして会話を通そうとしますね?逆に周囲が静かな環境では静かな声で会話が通じますし、静かな声でも相手が何を言ってるか判ります。これはそのまま音響のボリュームに相当します。
リスニングルームの環境が悪い場合、つまり不必要な定在波や反響・反射音が多い環境では不要にボリュームが上がり耳が疲弊します。逆に適度な静けさが保たれていれば、実は音量が小さくてもモニタースピーカーの音が手にとるように正確に把握出来ます。よって小さな音でも作業が快適になるのです。ボリュームを上げた下げたの違いも繊細に判ります。
良い音というのは音響学的定義があります。静寂なこと、都内の大通りなどのように低周波ノイズがないこと、また天井の高過ぎる部屋はいくら音量を上げてもボリュームを上げた気がしないことがあるでしょう。本来不必要な程に、スピーカーボリュームを上げることのないようまずは音響空間をしっかり整えたリスニングモニター環境を構築することが先で、結果防音対策に繋がります。
これらが地下スタジオのように莫大な工事コストをかけずにしても、防音に対して労力も格段に減っていくコツです。予算をかける前にまず検討してみてください。これが防音の基本となります。
3.防音ルームは2つ必要。1つは可動式レコーディングブース
リゾートプライベートスタジオでも、防音録音ブースが欲しい理由は2つあります。
1つ目は防音されたレコーディングブースで、ギターアンプなど大音量の楽器を気兼ねなく録音してもご近所さまに絶対に迷惑をかけないためです。
2つ目はリゾート地は自然界なので、突然の大雨や雷、台風の強風の音、また晴れていても近郊農家の畑の収穫機、芝刈り機の音などこれらの手強い外来音をしっかり遮音し、レコーディングセッションスケジュールに穴をあけさせないためです。
また音作りの面でもウィスパーボイスなど、オンマイクでレコーディングソースを限りなくクリアに収録する音源が必要な場合には、密閉された録音ブースは役に立ちます。
近所に家がなくて音を出しても近所迷惑にならないとしても、逆に外来音から守るための録音ブースは必須でしょう。
最初は3畳〜6畳程のレコーディングブースをお勧めします。
4.防音リフォームの落とし穴、天井と床に気をつける!
中古のリゾート住宅を購入した場合などに行う、防音リフォーム工事で気をつけたいことがあります。それは天井と床の遮音対策です。
通常、左右前後の隣接した部屋への防音対策であれば素人でもある程度施せますが、上下に漏れる音は素人では対策が出来ません。またこれはプロの防音業者ですら怠ることが稀に見受けられます。
あらかじめ、天井抜け、床抜けの音量測定を依頼してから取り組んで下さい。
5.地下スタジオの”完全防音”は自立神経を疲弊させている
遮音性能の高すぎる”完全防音”の防音室に長時間いると自立神経を疲弊させるおそれがあります。
適度に反射、低域、中域、高域の適度な拡散も必要です。(※もし完全な防音を目指すとしたら、それは電化製品や自動車騒音対策などの評価テストを行っている小野測器さんなどのノウハウに学びましょう)
本来、完全防音を目的とすることは、芸術を求める心理とは遠ざかる作業でもあります。音は混ざり合ってこそ美しくハーモニーを生むもの。良い結果というのは「こうでなければ出来ない」と思う精神からは中々生まれないものです。STUDERのアナログコンソールのようにクロストークを気にしなくたって名作は生まれています。
スタジオはやっぱり、楽しい場をつくる環境づくりを特にお勧めします。
6.トークバックシステムに映像を使う
レコーディング行う際、録音ブースとコントロールルームの遮断された空間でコミュニケーションをする必要があります。コミュニケーションには2つの方法があります。
1つは防音窓をつける方法、これは最もコミュニケーションが上手くいきますが、コストが大幅にかかります。窓も防音ガラスを二重にすることが大切で、可能な限り窓の面積も小さくした方がベターです。歌手によっては窓越しに見られることを嫌いますのでカーテンを用意しましょう。
2つ目は、映像カメラを応用したコミュニケーションです。こちらの方が予算も安く済みます。また演奏するプレイヤー、歌手も、窓越しに見られているという感覚がなくなるため自然と良い演奏テイクが生まれ、名演奏をのこせるプレイヤーもいます。
最初は映像カメラを用いたトークバックシステムで様子を見ながらキューシステムを構築し、将来的に二重の防音窓などをとりいれていく順序は如何でしょうか?
7.リゾート物件はオフシーズンを狙って物件調査する
実際にリゾート物件を扱う、軽井沢の不動産屋さんから頂いた声をここに紹介いたします。
まず、本気でリゾート物件を探すのであれば…
・軽井沢であればシーズンではない1月に物件調査をするために足を運んで下さい。
・箱根であれば頻繁に温泉宿に宿泊し、地盤の緩い箇所を地元の人から聞き出す必要があり、年間を通した物件情報も逃さないようにしましょう。
・鎌倉であれば東京型の発展をしていくので地域の特質を考慮して創造的空間に向いている場所を探しましょう。
どの地域も不動産屋さんに訪れる際は、人としてマナーをしっかり守って下さい。
特に観光シーズンの一時の憧れで訪れる観光客と、本当に定住・移住の意思のあるお客さんを不動産屋さんはいとも簡単に見分けます。
不動産屋さんはオーナー様から預かった大切な物件の紹介者としての立場、地域コミュニケーションの中心を担う立場、と、実はその地域で非常に重要な役割の仕事をされています。なので当然人を見て物件を紹介していますので人としてのマナー、礼節をしっかり持って物件を探しましょう。
物件を探す際は、私の場合も軽井沢の調査を開始したのは真冬の一月でした。誰も物件調査に来ない時期でした。故に不動産屋さんには本気度合いが伝わり、親切丁寧に対応して頂けました。雨でも、雪でも、霧でも、物件調査に度々足を運びました。何度もわざわざ東京から来たともなれば、不動産屋さんも本気の対応をして頂ける可能性もありますよね。
8.軽井沢・箱根・鎌倉が最高のリゾートスタジオ
音楽家で成功したプロデューサー、ディレクター、ミュージシャンがリゾートスタジオ候補として口を揃えるのは、1、軽井沢 2、箱根 3、鎌倉 の順であることを既にリサーチしています。
軽井沢は有名な、ウッドストックスタジオがあったために人気を得ました。現在も最も物価が高く人気があり、最高のステータスを誇っています。
箱根は交通の利便性も高いのですが、午前中に頻繁に行われる自衛隊の大砲の音がデメリットです。それを除けば環境も最高ですし、音の神様レイオーディオの拠点でもあります。
鎌倉は割と近年台頭してきたリゾート候補地ですね。今、勢いがあるので今後の展開が楽しみです。ミュージシャンでも比較的若い層に人気があります。
9.快適なスタジオの3つの条件
最も快適なリゾートスタジオとは、地下スタジオの反対の性格を持ち合わせているという事です。
自然光が入り、深呼吸したくなり、山の薫りがして、海の薫りがして、空気が新鮮であること。理論に裏打ちされた、整えられた、リスニング音響の中で気兼ねなく音を出せることです。
快適なスタジオの3つの条件とは
- 自然に溢れている
- 創造力の源泉がある
- 気兼ねなく制作出来る
本当に本気でリゾートスタジオをお考えの場合、お問い合わせからご連絡下さい、軽井沢でミーティングしましょう。
10.プライベートスタジオの間取り
音楽家に必要なスタジオの間取りは
- コントロールルーム
- レコーディングブース
- ロビー待合室的な別室
- ストレージ倉庫
これらが必要です。
しかしこれだけ部屋があると、プライベートの時は広過ぎて寂しくなります。本当に必要なのは環境なのか仲間なのか?これからのリゾートプライベートスタジオの在り方は、仲間とシェアしていくことです。たくさんの友人とともに、スタジオを建築しましょう。
11.将来はサラウンドディスプレイ、サラウンドモニター
現在、オーディオシステムはステレオから進化して、マルチチャンネルの多次元化が進んでいます。先日行われたソニーのPS4の発表会では、サラウンドディスプレイ、サラウンド音響などが次世代を象徴していました。
これからリゾートスタジオを計画される際は、サラウンドを是非取り入れてみましょう。そのためにはやはり広いコントロールルームが必要ですね。
スタジオの間取りや広さでは、都会を離れたリゾートスタジオの方が圧倒的にアドバンテージがあります。
土地の広さを有効活用したサラウンド音響、サラウンドディスプレイなどを駆使し、リゾートプライベートスタジオを謳歌しましょう。
リゾートプライベートスタジオが、将来の制作環境を変えていく拠点になる可能性もありますね。
まとめ
さよなら地下スタジオ。
快適なリゾートスタジオを作る11の方法
- 地下スタジオがなくても困らない
- 簡単に出来る防音対策は音響補正
- 録音ブースを用意しよう。
- 防音工事リフォームは天井と床を気をつける
- 地下の完全防音ルームは自立神経が疲弊する
- トークバックは映像と防音窓でコミュニケーション
- リゾートスタジオの物件の探し方のコツ
- 軽井沢・箱根・鎌倉が最高のリゾートスタジオです
- 快適なスタジオの3つの条件は、自然、創造的、音環境
- 理想的なプライベートスタジオの間取り
- サラウンドディスプレイ、サラウンドモニターを必須環境に
written by HOT TAKE RECORDS
信州・軽井沢・東京と幅広く音楽制作事業を展開
まずは計画を立てましょう。
軽井沢・箱根・鎌倉などの夢のリゾートスタジオへの移住・定住・別荘・スタジオ化計画のためにもまずはゆったりとした計画を立てましょう。
- 旅行で訪れ、まずはその土地を楽しんでみる
- 時間にゆとりが出来れば、一週間程滞在してみる
- 滞在中に実際作品を作ってみる
- 資金を含めた移住計画に必要なプランを立ててみる。
全ての始まりはその土地を愛すことからです。
皆様のリゾートスタジオライフが素敵なものとなるようにお祈り致します。